忘年推しプロ語り2019 その6
スケオタ大晦日にこんにちは。
推しプロ記事ラストです。
今までいくつかのプロを何かしらで無理矢理くくって1記事にしていたのですが、これは思いつかなかったので単独です。
◆Piper Gilles / Paul Poirier FD "Vincent (Starry Starry Night)"
良すぎて迂闊に語れないやつなんですが、それを言っては元も子もないので。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの「星月夜」がテーマ。あらゆる人が共感できる、何かを生み出す喜びと苦しみの物語。音源はイギリス出身の2人組アーティスト・GOVARDO がパイパーポールのために制作したもの。
このプログラム最大の論点ってパイパーちゃんが表現しているものは何なのか?だと思うんですが、答えは一つではないと思うんですよ。「描きたいもの」ではないかというツイートを見て、そういう考えもあるのかーと。創造、制作、評価、全てを含んだ「ゴッホにとっての絵そのもの」なのかなあと私は思ってます。
冒頭の女性が一回転して天から降りてくるような振付はアイデア、閃きが降ってくる様。流れるような美しいムーブメントの中に、所々印象的な振付が散りばめられています。2人の手が僅かに触れるところとか。ツイズルの間にはこれでもかと言うほどターンを盛り込んでます。そうですよ、こんなクリエイティビティ溢れる2人が「創作」をテーマに滑っているんですよ……。
"starry starry night "の歌詞に合わせて空を見上げるの素敵。中盤のテンポが変わるドン・マクリーンの原曲には無いパート、アイスダンスのルールに合わせる為だと思うのですが、ここが良いんですよ、キラキラしてて。絵を描くことが何にも代えがたい喜びで、生み出すことが楽しくて仕方ない日々の情景。
間奏が終わるとこの物語も終盤へ。コレオステップはナショナル以降大幅に振付が変更されていて、どっちも好きなんですけど初見のインパクトが大きかったので私の中ではスケカナがベスト。作品の評価に振り回されて、本当に描きたいものがわからなくなって、形にできなくなって。そんな苦悩が感じられます。
そして、"you took your life as lovers often do"の歌詞に合わせて左耳を抑える男性。ゴッホが自分の耳を切り落としたエピソードを表しているのでしょう。暗闇の中、その画家は再び空を見上げます。
StaLiは女性が男性に覆い被さる形。これは女性が男性の足元に添う形の前半のCuLiと対比になっていると思ってます。ラストは再び最初のポーズに戻り、そしてもう一度天を仰ぐのです。
昨シーズンの007のように無条件で盛り上がれるプロも、こんな風に考えさせられるプロもどっちも大好きです。衣装なんかも細部まで拘ってますからね。
余談なんですがこのスケカナの時ファンの方がひまわりのブーケ渡してたのセンス良すぎて、ワールドでパクらせていただきました。
他にもまだまだ書きたいプログラムはあったのですがとりあえずここでおしまい。
嬉しいことも悲しいこともたくさんあったシーズン。スケーターの皆様、素敵な演技をありがとうございました。また来シーズン元気な姿を拝見できれば幸いです。よいお年を!