思考備忘機構

趣味と思考と文体練習

推しプロ2020 その3

昨年に引き続き、あの方について、お誕生日に更新させていただきます。

 

Nathan Chen FS "Rocket Man" /choreographed by Marie-France Dubreuil

 という訳で、今年もネイサン・チェンさんのプログラムの素晴らしさを語る季節がやってきました!

エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」から、"Goodbye Yellow Brick Road""Rocket Man""Bennie And The Jets"を使用したプログラムです。

もう情報解禁されたときからそんなん10000%良いに決まってるじゃん??とめちゃくちゃにハードルを上げてJOを観たのですが、いやーーーー軽々超えられましたね。最高すぎて笑っちゃった。とりわけ、たった一撃で強烈なインパクトを残すあのChSq。同日のCaOIのアンコールでも(バックフリップ付で)披露していましたが、曲がかかった瞬間に会場盛り上がってましたもん。私はどっちも現地で観たんですよ~羨ましかろう??

 

表題曲、"Rocket Man"は孤独な宇宙飛行士の気持ちを歌った曲。世間からは華々しく見られるけれど、実際は苦労ばかりだし、寂しいし、愛する人も、帰りたい場所もある……みたいな歌詞です。劇中では、スーパースターとして富と名声を築いてなお孤独に苛まれるエルトン・ジョンの苦悩が描かれます。

"I'm not the man they think I am at home"

「家に帰れば、僕はみんなが思っているような男ではないんだ」という歌詞。学業と並行しながらスケートでも成功し続け、「完璧」「スーパーマン」と言われるネイサンと、どこか重なります。そう、エモい、エモいんですよこのプログラム……。ただ格好よくて盛り上がるだけじゃない。必然性がある。宇宙的スケーター・ネイサン・チェンが滑るからこそのロケットマン……🚀

キモオタポエムはこのくらいにしておきましょうね。

 

 衣装がここ三シーズンの中では最も派手でした。二代目の黄色い衣装は、一曲目に使われている"Goodbye Yellow Brick Road" を表現しているのではないかという説もあるみたいです。ヴェラウォンもなんでもかんでもマレーバクにする訳じゃないんですね。あの映画のド派手な色彩を表していて嫌いじゃないですよ!しかしラ・ボエームの二代目衣装、あれだけは絶対に許さない

 

では演技の中身について。全体の完成度としてはGPFが最高でしたね!

静かに曲が始まり、\でん!でん!/に合わせて気持ちのいい4F+3T。続く4Lz、着氷後の指を折る振付が格好いい。オイラーコンボの音ハメもめちゃめちゃ好きです。シーズン中にジャンプ構成をころころ変えていましたが、いつでも音ハメは完璧。トップ選手はそういうの多いですけど……みんな凄すぎない?どうなってんの???

CCSpから、曲は"Rocket Man"へ。3Aと同時にボーカルが始まるとこ!ここ!大好き!!劇的に世界が広がり、物語が始まる場面、ここは絶対にアクセルじゃないと!ってとこできれーーーにアクセルを決めます。爽快。

そしてStSqへ。ネイサンは「歌うスケート」ではなく「踊るスケート」の人だと思うのですが、このStSqでは「歌って」いますよね(伝われ)。

ここからはジャンプが続きます。スローパートでジャンプが続くと少し冗長に感じることもありますが、このプログラムでは気になりません。一つ一つのジャンプの質が高く、そして音楽に合っているから。曲だけではなく、歌詞にも合っているんです。"And I think it's gonna be a long long time..."という歌詞が繰り返されるパート。まだまだ道程は長いと嘆きながらも、一つ一つ地道に困難を乗り越えていくようにジャンプを着氷していきます。その先に待っているのは…………!!

というところで、"Bennie And The Jets"のリミックス版が流れ始めます。GPF以降スピンの構成が入れ替わり、ここはCCSpからCCoSpになりました。これが本当に効いてる!!より回転速度が速く姿勢がコンパクトなシット→アップワードを直前に持ってくることで、ChSqへ向けてどんどんグルーヴが高まるんです。

そして!お待ちかねの!ChSq!!!

 個人的にはスケートアメリカのChSqが一番好きです。あの会場の空気、音楽がかき消される程の歓声、それに呼応するようにどんどんノリッノリのキレッキレになるネイサン。最高峰の身体能力から生み出される暴力的なまでのエンターテインメント。広がっていくフィギュアスケートの可能性。その結果が新採点初のChSq GOE+2.50ですよ!!!!興奮しました。まさかミーシャ・ジーの跡を継ぐChSq満点ゲッターがネイサンになるとは。

ラストの振付もまたHIPHOPっぽくイケイケで、最後の最後まで目が離せません。いやあ本当に最高でした。ワールドでも見たかった!!!

 

本当は「このコレオエレメンツがヤバい!2020」という括りでチョクベイFD🐍についても書こうと思っていたのですが、あまりにも長くなってしまったのでまた後日……。ちなみにこちらもマリー先生振付です。

 

改めまして、ネイサン・チェンさん21歳のお誕生日おめでとうございます。来年の今日も、また新たなプログラムについて語ることができたら嬉しいです。